計算物理学
計算物理学は難しく学ぶのに時間がかかる
計算物理学ではコンピューターを使って様々な物理現象を解明する事を学びます。大学の物理学科でも必ず学ぶ分野だと思います。計算物理学で扱う物理現象はそれほど高度なものではありませんが、それを解くための考え方や解くために使うプログラミングが難しいです。よってしっかりと計算の考え方やプログラムのアルゴリズムが書かれた参考書を手に入れたいところです。また例としてプログラムソースが載っている事も重要でしょう。プログラミングを初めてするときはなかなか思うようにプログラムが書けないものです。そこで参考になるプログラムソースコードがあると大変役立ちます。
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理工系の数学入門コース8 数値計算 川上一郎 著 岩波書店
数値計算の参考書なので具体的な物理の問題への応用は書かれていませんが、連立1次方程式や数値積分、常微分方程式を数値的に解く方法等が載っておりどれも物理の問題を数値的に解くのに欠かせないものばかりです。計算方法の整理が難しいガウスの消去法やLU分解法、ヤコビ法等の計算プロセスが丁寧に解説されており非常にわかりやすいです。またFORTRANで書かれたプログラム例も載っておりプログラム初心者にとって学びやすい参考書です。
計算物理学 基礎編 小柳義夫 監訳 朝倉書店
大学で計算物理学を学ぶときに最適な参考書の1つだと思います。解説が詳しいところもそうなのですが、特に大変参考になるプログラムソースコードが載っているのが大きな魅力です。この参考書に載っているプログラムソースコードは読みやすくわかりやすく書かれており、このソースコードからかなり多くの事が学べるでしょう。プログラムソースコードはC言語で書かれたもの、またはFORTRANで書かれたもの両方載っています。大学ではこのどちらかのプログラミング言語を使う事が多いので、どちらの場合も大変参考になるでしょう。
計算物理学 応用編 小柳義夫 監訳 朝倉書店
「計算物理学 基礎編」の続きとなり応用編となっています。基礎編と比べると発展内容が中心で大学の物理学科では学ばない事が大半となっているかもしれません。しかし、本に書いてある内容は基礎編同様充実したものであり、持っておいて損はありません。
計算物理学入門 ハーベイ・ゴールド/ジャン・トボチニク 著 鈴木増雄 監訳 溜渕継博 監翻訳 石川正勝・宮島佐介 訳 ピアソン・エデュケーション
700ページを超えるほど分厚い参考書ですが、その分中身が非常に充実しています。ある物理の問題をコンピューターを使って解きたいときなかなかその解く方法を自分で見つけるのが難しいですが、この本に載っている豊富な計算物理学の手法を学び参考にすればきっと見つかるでしょう。この本にはプログラムソース例が載っているのも大きな魅力ですが、True Basicで書かれています。このプログラミング言語は恐らくあまり大学で扱わないでしょうが、C言語、またはFORTRAN言語で書かれたプログラムソースが計算物理学入門で配布されています。
HOW TO 分子シミュレーション 佐藤明 著 共立出版
多数の粒子を扱ったシミュレーションに欠かせない分子動力学法、ブラウン動力学法、散逸粒子動力学法等が解説された本です。シミュレーションの具体的な説明が十分詳しく書かれていますが、同様の内容が書かれた文献等も合わせて読み学ぶとより理解が深まると思います。またプログラム例が載っているのも大きな魅力です。ただしプログラム例の半分がC言語、残り半分がFORTRAN言語で書かれています。よってあるプログラム例がC言語で書かれていた場合、FORTRANで扱いたい場合はC言語からFORTRAN言語へ書き直す必要がありますが、両者のプログラミング言語の基礎知識があれば十分可能です。

またどのプログラムソースにも言える事ですが、自分のプログラミング環境によってはコンパイル、または正常にプログラムが動かない場合があります。私はプログラミングはVisual Studio .NET theSpoke Premium Version 2003(既に販売が終了しています。)を使って行っていますが、この本に載っているプログラムソースをそのままコンパイルしようとするとエラーが発生してしまい、多少修正する必要がありました。それでもこの本に載っているプログラムソースは大変参考になりとても有用なものでした。
分子シミュレーション講座1 モンテカルロ・シミュレーション 神山新一・佐藤明 著 朝倉書店
モンテカルロ法の専門書です。モンテカルロ法は、様々な分野を網羅した計算物理学の本にほぼ必ず掲載されているほど有名なシミュレーション方法ですが、モンテカルロ法の理解を深める、またはより高度なモンテカルロ法を学ぶためにも、モンテカルロ法の専門書を何冊か持っておいたほうが良いでしょう。この本はその中の一冊としておすすめできる本です。
分子シミュレーション講座2 分子動力学シミュレーション 神山新一・佐藤明 著 朝倉書店
まだ半分程度しか読んでいませんが、分子動力学法を学ぶときに非常に役立った本の1つです。基本的な分子動力学法プログラム(FORTRAN)も掲載されていますので、大変参考になると思います。
分子シミュレーション講座3 流体ミクロ・シミュレーション 神山新一・佐藤明 著 朝倉書店
私がブラウン動力学法を学ぶときに大変役立った本です。この本にはブラウン動力学法の他にストークス動力学法についても詳しく解説されており、分子シミュレーションの理解に役立つと思います。

2008/09/08 更新